簡易簿記と複式簿記について

フリーランスや個人事業主になると確定申告をすることになります。

確定申告とは、一年間の所得を税務署に申告することです。

それによって国や地方自治体に納める税金が決まります。

申告する時期はフリーランスや個人事業主は12月31日が決算日となり、1月1日から12月31日までの所得を次の年の3月15日までに確定申告することになっています。

税理士さんや会計士さんに丸投げすればそれで万事よいと思いますが、独立や投資で成功したければ、会計簿記と税金の知識が絶対必要です。

会計事務所は経費や売上を正確に記帳することが仕事であって、お金を実際に動かすのは事業者本人です。

虎の子であるお金を投資するわけです。

決断を他人に預けるわけにはいきませんよね。

わからないから、めんどくさいからといって避けていると、独立して収入が多くなったはいいけれど、税金や保険の支払い等でキャッシュが残らないという、悲しいことが起こります。

ですので、簿記会計や税金の知識、確定申告の方法などは知れるだけ知っておいたほうがいいと思います。

 

はい、では、どのように勉強したらよいでしょう?

一番いいのは実際に毎日帳簿をつけてみることです。

食べたことのない食べ物の味を誰かに聞いたところでわかるわけないですよね。

ですので、理解するためにはやってみることです。

そしてやっていくと、わからない言葉がたくさん出てきます。

それを一つ一つ調べながら覚えていけば、いつしか理解できるときが来ると思います。

これからお話する内容も、初心者のかたにはさっぱりわからないかもしれません。

しかし、それは当然のことです。

なぜなら、言葉を知らないからです。

会計の分野の語彙が足りないので、しょうがありません。

どの分野でも共通して言えることですが、もし理解したい分野があるならとにかくその分野の語彙力を高めることをお勧めします。

 

前置きが長くなりました。

今回は簡易簿記と複式簿記について簡単に説明したいと思います。

 

確定申告には青色申告と白色申告の二種類あります。

昔は白色申告のメリットがありましたか、現在はほぼメリットがありません。

ですので、ここでは青色申告について説明します。

青色申告にも二種類あります。

一つは簡易簿記による申告。

もう一つは複式簿記による申告です。

簡易簿記と複式簿記で何が違うのか?というと、所得から引かれる控除(青色申告特別控除)の額が違います。

簡易簿記の青色申告で所得から引かれる控除額は10万円。

複式簿記の青色申告で所得から引かれる控除額は65万円。

「控除」という言葉、よくわかりませんね。

わかりやすく説明します。

一年の総収入(総売上)から経費を引いたものが、「所得」になりますね。

この所得によって税金が決まるわけですが、この所得が多ければ多いほど税金を払うことになります。

で、その所得からある条件を充たす場合などに、所得からいくらか金額を差し引きましょうというのが「控除」というものです。

ちなみに青色申告特別控除の他にも、たくさんあります。

 

基礎控除

社会保険料控除

生命保険料控除

地震保険料控除

医療費控除

中小企業共済等掛金控除

住宅ローン控除

配偶者控除

配偶者特別機控除

勤労学生、障害者控除

寄付金控除

寡夫控除

扶養控除

雑損控除

 

 

実際の数字で考えるともっとわかりやすいと思います。

年間の総収入が150万だったとします。

経費が50万だったとすると、年間の所得は100万になります。

上記控除額の合計が90万だったとすると、100万から90万円引いて残った10万円が年間の所得となり、この10万円が課税対象の額となります。(ここで、?控除されるなら、はじめから経費として所得から差し引けばいいのでは?と思うかもしれませんが、それはまたの機会に説明します。)

 

いかがでしょうか?

控除というものがどういったものかわかりましたでしょうか?

わかっている方には少し眠くなるお話です、すみません。

さて話をもどします。

簡易簿記で申告した場合と複式簿記で申告した場合は、この控除の額が違うのです。

その差は55万円。

簡易簿記で申告した場合、複式簿記で申告した場合よりも年間所得、つまり課税対象の額が55万円も多くなります。

所得税は課税対象額に最低でも5%掛けた金額(所得によってかける率が変わります)、住民税は10%掛けた金額ですので、所得税、住民税合わせて最低でも8万円ほど多く税金を納めることになります。

これにさらに国民健康保険税ものしかかってきますので、さらに多く税金を払うことになるのですね。

わからないから、できないからといって簡易簿記で提出するのはもったいないと思います。

税金として払う額は、家族がいるならちょっとした旅行にいける金額です。

 

さて、それでは具体的に簡易簿記、複式簿記とはどういうものなのか?を説明しましょう。

その前に言っておきますが、先ほど、申告を簡易簿記か複式簿記ですると書きましたが、記入した帳面を提出するということではありません。

提出する書類作成のために複式簿記が必要ということですので、覚えておいてください。

簡易簿記は簡単です。

小さいころ、おこづかい帳というのを記入したことがあると思います。

まさにそれが簡易簿記です。

家計簿なんかもそうです。

始めにいくらのお金があって、今日いくらお金が入ってきて、いくらのお金を何に使って出ていったか?

それを記入し、残高を記録するだけです。

これはとても簡単ですね。

 

複式簿記は少し理解が難しいです。

複式簿記は、資産の増減を2つの側面からみて、それぞれ記帳することになります。

例えば、カラー剤一本500円をお金で買うとします。

簡易簿記の場合、お金の増減だけを記せばよいため、今ある残高から500円引いて、カラー剤を買ったことを記せばよいだけですね。

複式簿記の場合、

「500円という資産とカラー剤という資産を交換した」

この二つの資産についてそれぞれ記帳することになります。

お金は「現金」、カラー剤は「仕入高」という分類になります。

この「現金」や「仕入高」という分類のことを会計用語で勘定科目と言います。

現金という分類のなかで、500円がでていきました。

逆に、仕入高という分類のなかで500円分のカラー剤が、入ってきました。

お金500円という資産が出ていき、代わりにカラー剤500円分が入ってきました。

一度の取引で二つの側面がありますね。

すべての取引に二つの側面があるのです。

ここが複式簿記といわれる所以です。

初心者の方には少しわかりづらいかもしれません。

 

はい、ではもう一つ例題です。

「1万円を普通預金にいれました。」

これはどうでしょう?

「現金」という勘定科目から一万円でていきました。

逆に、「普通預金」という勘定科目に一万円がはいりました。

このように資産の増減を記帳することで、作成することができるのが貸借対照表、通称バランスシート、B/Sといわれるものです。

青色申告特別控除65万を得るには、貸借対照表を提出しなければいけません。

で貸借対照表を作成するためには、複式簿記が必要である、というわけです。

ちなみになぜバランスシートと言われているか?というと、先程の例題で考えてみればわかります。

出て行ったもの、入ってきたものを差し引きするとゼロになります。

すべての取引で差し引きゼロになりバランスが取れるからです。

私が独立当初、65万の青色申告特別控除を受けられなかったのは、最終的に貸借対照表の一番下にある数字、入ってきたものの合計額(借方)と出ていったものの合計額(貸方)の差し引きがゼロにならなかったからでした。

差し引きすると必ずゼロになるのに、ゼロにならなかったということは、簿記が正しくないということであり、提出できませんでした。

当時は、手書きで記帳作業をしていましたので、どこでどう間違えたのかもわかりませんでした。

はい、現在は会計ソフトを使っていますのでそのようなことはありません。

というか、会計ソフトを使って記帳をするようになってから、複式簿記を理解できるようになりました。

ですので、複式簿記を理解したいと思うなら、複式簿記に対応した会計ソフトの使用をお勧めします。

インストール型ソフトなら「青色申告ラクダ」、クラウド型ソフトなら「マネーフォワード」や「freee」がいいと思います。

どこからでもアクセスできるクラウド型会計ソフトはめちゃくちゃ便利ですね。

今の時代がほんとにうらやましいですね」。

以上今回は簡易簿記と複式簿記、あとは控除や貸借対照表についての簡単な説明でした。

65万控除を得るためにフリーランスの方は頑張りましょう‼

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